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過去のある記憶。
ベッドで頭痛に優しく殺されそうに微睡み続け、思い出していたこと。
そのお話。
一つの集団生活に属していた、十代の終わり。

女子だけで構成されたそのクラスには、突発的に過呼吸発作を起こす生徒がいた。

いかにも詐病に見えたけれど、苦しそうな様相を呈する姿を放っておけるはずもない。

先生の立場である方々は、その生徒の発作が起きると女生徒を別室に隔離した。

ある時偶然に、扉の硝子越しに覗き見えた光景。
床で喘ぐ彼女を、腰掛け腕を組み無造作に見下ろす先生の姿。
一つの言葉もかけない。
ただ発作がおさまるのを待っている。

私にはとても扇情的に思えてならなかった。
広い教室に、転がる女生徒と監視する先生。
いや実際には先生は、女生徒を見るともなく見下ろす仕草を行為として完結していたように思える。

その場面が、その瞬間からまるで時を止めたかに私の脳内に念写されている。

長い黒髪をひとつに束ね、細身の体と顔つきその全身から厳しさがびりびりと空気を震わすように伝わる先生だった。

その実私も、縛った相手を床に転がしたまま放っておくのがとても悦なのだ。私自身における悦。

相手から何か訴えかけがあるまでじっと待ち続ける時間。

静かさ、白い時間、冷んやりした空気。
目を視線を奪われる光景の、心臓を刺す高鳴り。

教室が恋しいのは何故だろう。


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まだまだSM行為を自由にできる日々は遠そうに。

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自分を失えない今、
この日々を耐えてこそ、身を委ね自由をこちらへ明け渡して不自由さえ覚えたとき、初めて心の自由を得られる。
なーーーんちってね。
それっぽく言葉を並べるとそれっぽく受け取れるでしょう?
だって、私の言葉ですもの。
あぁ だから言葉って好き。

    




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